【ちょっといい話】第3話 石黒京子

「知って得するお薬の話(その1)— 眠くならない風邪薬 —」

 

風邪の季節ですね。

今日は、風邪を引いてもゆっくり寝ていられない、がんばっているあなたに「眠くならない風邪薬」を紹介したいと思います!

一般に総合感冒薬といわれる風邪薬は、風邪を根本的に治療するのではなく、風邪の諸症状(のどの痛み、発熱、頭痛、せき、たん、悪寒、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和を目的にしています。

市販の風邪薬(ルル、ベンザ、コンタックなど)を飲むと眠くなるのは、抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸カルビノキサミンなど)が入っているからです。 抗ヒスタミン剤は、くしゃみ、鼻水、アレルギーなどの原因となるヒスタミンの作用を抑えてくれますが、脳内のヒスタミンにも作用して、「ヒスタミンの脳内物質として眠気を抑え覚醒状態を保つ重要な役割」も抑えてしまうため、結果的に眠くなる副作用を生じます。最近では脳へ行く血管のフィルター(血液—脳関門)を通過しないような抗ヒスタミン剤も開発されていますが、医療機関でしか処方されないものがほとんどです。

また風邪薬にはそのほか、催眠作用や鎮静作用をもつ成分(ブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素など)も配合されていることがあるので、多くの風邪薬にはカフェインでこれらの成分による眠気を少なくする工夫もされています。したがって、抗ヒスタミン薬やブロムワレリル尿素などの眠気の出る成分を含まない薬として薬局で販売されている「パブロン50」や「DayQuil(Vicks)」などは、解熱、鎮咳などには効果を示しますが、鼻水が主症状のかぜにはあまり適していません。

「漢方薬」には、眠気が出ず、くしゃみや鼻水に効く手軽で副作用の少ない風邪薬があり、近頃は顆粒剤や錠剤など利用しやすい形でドラッグストアにたくさん並んでいます。主に風邪の引き始めに使用する「葛根湯(かっこんとう)」をはじめとする漢方薬のかぜ薬には、眠くなる成分は含まれていません。葛根湯は、七種類の生薬(桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草・葛根・麻黄)を混ぜ合わせ、比較的体力のある人の風邪の初期で、寒気があり、肩や首筋のこり、頭痛、鼻水、鼻詰まりなどの症状に用いる代表的な処方です。鼻かぜに使用する「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」や、胃腸の弱った風邪に使用する「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」なども眠気が出にくい風邪薬です。また体力が低下した人の長引く咳には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、こじれた風邪には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」が適します。また生薬と西洋薬を組み合わせた「改源(かいげん)」も眠くなる成分は配合されていません。いずれも薬局やドラッグストアで購入できます。

でも本当は無理をせず、暖かくして寝ているのが一番の早道かもしれません。

風邪は万病のもと!気をつけて下さいネ。

 

調査・広報部門リーダー 石黒京子 (薬学部 教授)