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「パンパシフィック水泳選手権大会2018」で、アメリカナショナルチームをスタッフとしてサポートした武庫川女子大学健康・スポーツ科学部の幸野邦男講師が、その経験をレポートします。

2018/08/31

武庫川女子大学健康・スポーツ科学部の幸野邦男講師が、8月に東京辰巳国際水泳場などを会場に開催された「パンパシフィック水泳選手権大会2018」で、アメリカナショナルチームのスタッフとしてチームをサポートしました。世界トップチームのスタッフとしての体験をレポートしてもらいます。

 

幸野講師(写真左の右。左はアメリカチーム女子のヘッドコーチ、アーサー・アルビエロ氏)は24年間、アメリカの大学で水泳部コーチとして活躍し、日本に帰国後の2016年に米国水泳連盟のフランク・ブッシュ氏からナショナルチームのスタッフとして参加依頼があり快諾しました。幸野講師は、アメリカではアリゾナ、南カルフォルニア、アラバマ、ネバダ、ニューメキシコの各大学で水泳部のコーチを務め、男女計17人のオリンピック選手を輩出しました。2016年9月に武庫川女子大学に赴任し、水泳のコーチとスポーツ英語を通じて、スポーツの国際化教育の推進を担当しています。

 

以下、レポートです。

 

パンパシフィック水泳選手権大会は、オーストラリア、カナダ、日本、アメリカの4か国が、環太平洋地域の水泳レベル向上に力を結集するため、1984年にパンパシフィック水泳協会を設立し、環太平洋地域の国々が参加する競泳国際大会を開催。以降、オリンピックや世界選手権を開催しない年に、上記4か国の持ち回りで開催しています。水泳界では「オリンピック・世界水泳と並ぶ世界三大大会」の一つとして数えられ、2018年大会は、2002年の横浜大会以来、16年ぶりの日本開催となりました。

 

2018年大会は、8月9日から12日、東京辰巳国際水泳場で競泳大会を開催、14日には千葉県館山市でオープンウォータースイミング大会が開催されました。

 

私は、アメリカナショナルチームの事前合宿からすべての日程に帯同し、ローカルエクスパートとしてさらにスタッフとして活躍できました。ナショナルチームスタッフになるには、長期にわたる水泳界への貢献度とバックグランドチェックが必要となり、かなり厳しい条件をクリアしないと参加できない規則があります。

 

▽8月4日にチームスタッフが一日早く東京に到着、選手権のレジストレーション、ロジスティックスの確認と会議、ニュートリションなどの調整と準備。

▽8月5日から4日間、辰巳の国際水泳場にて試合直前の調整練習。

▽8月9日から14日まで本大会。チームUSAは圧巻の泳ぎで大会優勝を獲得。日本チームは3位。MVPは背泳ぎのライアン・マーフィー選手が獲得しました。

▽最終日は、ホテル出発後、現在建設中の2020年東京オリンピック水泳会場やメイン会場、オリンピック選手村を視察し、士気を高めて帰国の途につきました。

 世界のトップチームのスタッフとして、この間の貴重な経験を通して学んだことは計り知れませんが、あえて言うならば以下の5点がとても重要だと感じました。
 

 

(1) タイムマネジメント(Time Management)

時間の使い方の上手さ。選手・スタッフの試合会場にいる時と、プライベートな時の公私の切り替えのうまさ。リラックスする時と極度のプレッシャーの中での集中力の入れ方が高校生であれ、大学生であれ、またプロフェッショナルに泳ぐ選手でも米国代表選手としてのプライドと個々のレースにおける集中で、しっかりとしたマネジメントが確立されている。東京開催の国際大会で、大会の合間でも観光をしたりラーメンや寿司を食べて、開催地を楽しむ時間を過ごし、また個々の興味と趣味を生かしながらの時間を大切にし、同時に試合に向かうときにチームUSAのユニフォームを着たときの真剣な精神力が、各々の最大限の力を発揮できるきっかけとなっていると感じました。

 

(2)責任、役割分担(Duties)

選手とスタッフ、コーチ陣の役割分担。スタッフ陣は選手のために全力でサポートする。生活面、食事面、ロジスティックス、グッズなどすべてにおいてアスリートファースト。選手が最高のパフォーマンスをするためにコーチを含め周りのスタッフは惜しみない努力をし、57名の選手をサポートした。パフォーマンスを向上するために一番大切な事、それはチームUSAのスタッフが一丸となり、選手の身体的なところはもちろん、それよりも大切な精神的な面でのサポートをおこなったからである。選手たちはスタッフが準備してくれた環境に感謝し、自分のパフォーマンス最高に高め、最も早く泳ぐことだけに集中できる。チームUSAにある選手とスタッフの団結力に感銘しました。


(3)Pride/Respect/Dignity

チームUSAの選手としての誇り、尊敬、尊厳を個々の選手がもっとも大切にしていて、主体性を持ち、ロールモデルとしての役割に自信を持ち、自覚している。

ロールモデルとして若いアスリートや子供たちに夢を与えチャンスをあげることに惜しみなく時間を使う。例えば、100mバタフライで優勝したケーラブ・ドレッセル選手は、少しの時間があれば、ファンや日本の子供たちに言葉は通じなくても言葉掛けをしたり、写真を一緒にとったり、サインをしたりする時間を惜しみません。そこにいた観客たちが一番驚いたことは、彼が取得した100mバタフライの金メダルを会場の子どもにあげ、チームUSAのユニフォームをメッセージとともにサインをし、子どもたちに渡したことだろう。金メダルにも執着をせず、国籍に関わらず若い未来を担う子供たちに夢と希望そしてモチベーションを与える寛容な選手がほかにいるだろうか。彼は若干22歳のアスリートです。

 

(4)Teamwork

アスリートとして良い時も悪い時も必ずあります。その時こそチームメイトとして支え合える環境があり、チームUSAのプライドが助けあう。選手一人一人に対するコーチとスタッフの存在の大きさは計り知れません。選手とコーチのコミュニケーションの取り方、コーチとコーチ、またコーチとスタッフのコミュニケーションの取り方、一緒に過ごしてきた時間、夢に向かってかけてきた献身的な想い、自分の信じるコーチに対する精神的な絶対的にぶれない尊敬と信頼は、選手に時として考えられないくらいの力を与えます。0.01秒の差を生むエリートコーチングは、選手、コーチ、スタッフが一丸となるチームUSAは、世界で最もバランスが取れたチームだと思います。

 
 

(5)Perseverance

このチームにはアメリカのレジェンドコーチと呼ばれる今年81歳になるジョン・アーバンチェックや、チームキャプテンである33歳のアスリート、マット・グリーバー選手など、長期間にわたり世界のトップを走り続けてきた人々の存在が大きく影響しています。チームUSAに所属している選手全員が口をそろえて言うことがあります。「家族、コーチ、友達、スタッフの全てに感謝している。その人達がいたから自分が自分自身で最も高い到達点に立つことができる!(Be the best I can be!)」。

 

米国水泳連盟は初心者レベルである草の根的活動から国際大会レベルまで熱心に水泳普及のため、選手支援のため、地域のため、国のために誠心誠意活動している姿勢がみられます。それは選手だけでなく、支えるスタッフやコーチ、また「みる」ファンや家族をも取り込み、水泳というスポーツを素晴らしいものにして普及させています。

 

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