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◇活躍する卒業生19◇「えいよう未来株式会社」代表取締役 栄養院創始者 長井佳代さん(生活環境学部食物栄養学科2002年3月卒)

2022/06/30

管理栄養士としてのスキルと経験を基盤に、起業して12年。企業の社員研修や講演、執筆等、幅広く活躍する長井佳代さんが5月、小説仕立ての腸活本「便秘の神様」(あさ出版)を出版しました。「健康な人が食を通して自分の健康をケアできる社会システムを作りたい」と言う長井さんに聞きました。

 

「便秘の神様」は、便秘に悩む5人の女性が「ベンソルー」と呼ばれる管理栄養士と出会って笑顔と快便を取り戻すストーリー。「便秘の原因には我慢、緊張、弛緩の3つのタイプがあり、自律神経の乱れも影響します。現代人は我慢と緊張からくる便秘が多い。最近は若い男性の便秘もよく聞きます」と長井さん。「脳腸相関」というように、腸の不調は心と密接につながっているよう。小説の中で、栄養指導を通して心に抱える「痩せ願望」や「職場やパートナーへのイライラ」をあぶりだし、改善につなげるベンソルーは、長井さんが提唱する管理栄養士の理想の投影です。

 

長井さん自身、一人ひとりの食事と心を改善し、パフォーマンスアップにつなげる栄養指導で多くの支持を集めてきました。「食事を変えるにはその人の生活の背景やストレスを知る必要があるため、聞き取りには時間をかけます。食事って本人が納得して変えようとしなければ変わらない。栄養指導の手法はカウンセリングであり、コーチングに近いですね」。

 

栄養士を志したのは中学生のとき。阪神・淡路大震災を体験し、様々な食糧支援を目の当たりにして「食べることは生きること」と実感したのがきっかけでした。管理栄養士養成で定評のある武庫川女子大学へ進学。卒業後、病院勤務、料理講師を経てヘルスケア企業に転職しましたが、組織に所属することに限界を感じ、当時、まだ珍しかったフリーランスの管理栄養士に。大学時代から温めていた「病院に行くほどではないけれど、少し気がかりな不調を気軽に相談できる場所」としての「栄養院」構想を掲げ、2010年に「えいよう未来研究所」を設立しました。

 

肩書には「栄養院創始者」とあります。「制限する栄養指導ではなく、健康な人が健康を維持するために栄養指導を当たり前に受けられる環境を作りたい。栄養院は病院のような建物ではなく、一次予防の手前の0次予防が当たり前の社会システム。病気になってから食を見直すのではなく、『おいしい』が健康につながる世の中にしたいんです」。

 

一方で、管理栄養士がフリーランスで活躍できるよう支援するスクールを運営し、全国から生徒が集まっています。「管理栄養士の資格を持ちながら、生かし切れていない人が多い。出産等で離職するケースも多いけれど、在宅でも献立作成等の業務はできるし、ドラッグストアなどにも管理栄養士のニーズは高まっています。自信をつけて活躍の場を見つけてほしい。そのための具体的なステップや栄養指導のフレームワークを伝えています」。

 

出張で全国を飛び回りますが、拠点は長野県。コロナ禍で東京に息苦しさを感じていたころ、偶然旅して魅了され、昨年、移住しました。さかのぼれば独立のきっかけも、イタリア出張でイタリア人の縛られない生き方に触発されたのがきっかけだったとか。思い立ったら即行動。その行動力はどこからくるのでしょうか?

 

「学生時代、アルバイトや習い事など、片っ端から経験したことで、社会に出る心構えができた気がします。後輩たちへのアドバイスは『気になることがあったらそこに行け』。行動に移すことが大事です」と呼びかけました。

 

 

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