教員情報詳細

- 所属名称
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心理・社会福祉学部 社会福祉学科
- 資格
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講師
- 学位
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修士(保健学)
- 研究分野
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精神保健福祉, 地域精神保健
- キーワード
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精神障害者, 地域生活支援
- 社会貢献活動
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大阪府社会福祉協議会・運営適正化委員会副委員長・運営監視小員会委員長, 和泉市障がい者自立支援協議会委員・障がい者施策推進協議会 副会長, 堺市障害者支援区分認定審査会委員
- メールアドレス
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- 大学・個人
- shimizuy
mukogawa-u.ac.jp
地域におけるメンタルヘルスの対象は、精神疾患をもつ人のみのことではありません。疾患を持たない人も、もつ人と共に暮らしやすい地域、職場、学校の環境づくりをどのようにしていくのか、という人、環境も対象になってきます。メンタルヘルスにかかわる人々は、保健・医療・福祉の専門職の他に、ボランティアやピアサポーターやピアスタッフといわれる病いの経験者もいます。以下、関心のある研究課題について3つご紹介いたします。
①在宅精神障害者を支える居宅介護(ホームヘルプサービス)について
私は、これまで、外側からは気づかれにくい様々な生きづらさ、社会生活スキルにハンディを抱える精神障害のある人を対象にした居宅介護(ホームヘルプサービス)の支援の特性について研究してきました。私は看護師の経験を持っていますが、ホームヘルパーと看護で共通しているのは、その人の生活全体を視ることです。居宅でその人らしい、あるがままの生活の場で本人に徹底して向き合う細やかな生活支援を提供し続けることの効果についてとても私は惹かれていきました。小さな家事援助の積み重ねが、その人の生活基盤や人と人とのつながりの豊かさへと大きな展開を見せていく可能性が魅力的です。
しかし、このような在宅介護従事者は人手不足が今、大きな課題となっています。在宅介護の支援の質がどのように維持、向上していけるかさらなる研究が必要だと考えています。
②精神障害のある当事者がホームヘルパー資格を取得するということ
精神障害当事者が、ホームヘルパー資格を取得するという過程および資格取得後の就労や社会生活面がどのような変化をしたのか、調査をしました。
病気や障害があっても、資格を取得するプロセスでの学びの機会が人生の転機になること、資格を取得することが大きな自信につながることなどがわかりました。
③精神障害当事者が体験を語るということ
精神障害当事者が体験を語る活動グループのサポーターとして私は参画しています。
当事者が体験を語るということを通して、同じような病気をもつ仲間を励ますことができたり、
精神保健の啓発活動や福祉教育のプログラムのなかに体験の語りを置くことで、語りの聞き手の
精神障害者に対する偏見の意識の低減や、メンタルヘルスリテラシーの向上に役立つことが分かっています。
語り手である精神障害のある人も、語りの活動や啓発活動を通した社会貢献をしていくことで、自信を得たり、
エンパワメントやリカバリーへの効果も認められます。
さらに、支え手であるスタッフも、語り手の語りを作り上げるプロセスに関わることで、ナラティブアプローチを体現していくことや、多面的かつ深化した当事者理解につながり、日常の支援実践とは異なる視点をもたらすことがあります。
このように語り部活動は聞き手、語り手、支え手に肯定的な変化をもたらしていきますが、支え方や語り方にはいろいろなバリエーションがあり、それらの違いにより影響度も変わってくることが考えられます。
さらに、共生社会構築という地域福祉の目標がありますが、多様性を理解しあえる地域の場を創造が必要になってくると思われます。地域でどのような手法で語りを介した理解の場を創り出せるか、また、その効果的な方法などが今後の研究課題です。
以上のように、コミュニティ・メンタルヘルスの支え手のユニークさやアプローチの特性を探求する研究、当事者の回復過程とそれにかかわる環境(人、仕組み)に関心があります。