農業遺産とは、伝統的な農畜林漁業の手法によって維持されてきた地域固有の農業システムや景観のことです。「遺産」といっても一つの建物や芸能などではなく、地域全体の環境や資源、それらを活かした産業や文化、ライフスタイルそのものが対象です。地域の人びとが受け継ぐ知恵や経験に基づいて地域の環境や資源が利用・管理されてきたことにより、農業遺産が守られ、生物多様性や水や土の環境が保たれてきました。これらは一度失われてしまうと取り戻すことができません。本研究では、国内の農業遺産地域（兵庫県内にも5地区あります！）を主な対象として、その価値の評価と維持管理の方法、農業遺産を活かした地域振興策（サステナブル・ツーリズムも含む）について、自治体や地域住民との協働の下、実践的に研究しています。