主として平安時代後期から鎌倉時代初期の歌学について研究しています。特に六条家の歌学者・藤原清輔の『奥義抄』に注目し、彼がどんな書物に触れて、自分の考えを作り上げたのかを解明しようとしています。清輔は歌ことばの意味を正確に理解し、歌を詠むのに役立てようとしました。また、当時の学者たちがどのように『万葉集』を読み、理解していたのかも研究しています。例えば、『万葉集』の写本には巻二十の末尾が欠けているものがあり、それを重視する人と、偽物として疑問視する人がいました。そこには書物のあり方に関する当時の関心が反映していると考えられるのです。